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薬剤師のキャリアにエッジを立たせる

P-Edgeな人のコア・インタレスト ~あなたを突き動かしているものは何?~ Vol.1 人とのつながりを作るのが好き(沖原猛)

P-Edgeな人のコア・インタレス
~あなたを突き動かしているものは何?~
Vol.1 人とのつながりを作るのが好き(沖原猛)
取材:2018.9.23

コア・インタレストとは、キャリアデザインの元となる自分の最たる関心事。自分の本質的な行動の源。

 

こんにちは、P-Edgeの富澤です。
エッジの立った薬剤師さんからキャリデザインを学ぶ第1弾。
今回のお相手は、
「製薬メーカー⇒調剤+研修講師」
という沖原 猛さん。

 

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東京薬科大学卒、漢方薬・生薬認定薬剤師、スポーツファーマシスト、ウエルネスファーマシスト、サプリメントアドバイザーなどの認定・資格を持つ。趣味は自転車。埼玉県在住の39歳。

 

大学の研究室の後輩である沖原さん。僕が現在、埼玉県の農家さんのコンサルティングに関わるようになったのも沖原さんの人脈のおかげ。

経歴だけ見ると、まぁ普通の薬剤師さんです(笑)。
一つの専門性を長年磨いてきたとか、どっかの学会や薬剤師会の理事やってるとか、本を書いているとか、そういうタレントさんではありません。

製薬メーカーから薬局にキャリアチェンジし、調剤併設のドラッグストアで薬剤師として仕事をする傍ら、月1~2回のペースで研修講師としても活躍中。
勉強熱心なので、しょっちゅうセミナーにも参加しているようですし、講師を頼まれればどこにでも行く。人脈も広いし、本当によく動く人です。

人前に立ってスポットライトを浴びたかったわけでもなく、研修講師の活動をしたいと思っていたわけでもなく、ただただ自分の目指す薬剤師像の実現と人とつながるのが好きという想いで、あちこち顔を出しているうちにいつの間にやら教える側に立つ機会が増えてきたとのこと。

「薬剤師って勉強熱心だけど、インプットばかりでアウトプットしない」なんて時々皮肉を耳にすることがありますが、自分の手の届く範囲で誰かの役に立ちたいと思えば、誰もが誰かの先生になれる。

そういう意味で沖原さんのキャリアややっていることって、手の届かないレベルではない。だけど誰もが真似は出来ない。そんな沖原さんのキャリアを紐解いていきましょう。

 

大学卒後の略歴を教えてください。

2002年に東京薬科大学薬学部を卒業、そのまま修士課程に進学しました。卒後は、高田製薬株式会社の製剤研究部門で4年間、株式会社富士薬品の製剤研究部門で6年間働きました。その後、キャリアチェンジして2014年にカイエー薬局へ、2016年にセキ薬品株式会社へと転職をしました。薬剤師業務歴としては4年です。

どうして製薬メーカーから薬局・ドラッグストアへ?

研究って世の中の多くの人のためにはなっているかもしれませんが、その人たちの顔も見えないし、「いい薬をありがとう」なんていうレスポンスもない。もっと身近な人を直接サポートしたいという気持ちが芽生えたことが転職のきっかけです。

趣味ではありますが、本格的に自転車競技を始めるようになってから、選手仲間からサプリメントやドーピングのことを聞かれることが増えました。自分の知識をもっと身近な人のために役立たせたいと思うようになったんです。そのためにもっと幅広い知識を身に付けようと思って、薬局に転職しました。

どんな薬剤師像を描いていたんですか?

極端な言い方をすれば、病気になって頼られるのは医師であって、薬剤師ではない。だから、病気になる前の段階で頼られる存在になりたいと考えていました。日本人はメディカルリテラシーが低いと言われているので、病気の予防、健康増進、体質改善、薬物療法の意義(薬はあくまで対症療法であり、本来は自分の治癒力を高めることが大事)などを未病の人に伝えたい、そのためには処方せんを持って薬局に来る人だけを対象とするのではなく、地域に出向いていって未病の人を捕まえなければならない。そういう活動をするのが薬局であり、それが薬剤師のあるべき姿だと考えていました。

ところが現実は違う。ただひたすら調剤に追われ・・・(苦笑)。これじゃまずいと思いましたね。

どうしてそういう薬剤師像を描かれたんですか?

前述したように、身近な人の役に立ちたいという想いからです。それに薬局や薬剤師の在り方にも危機感を持っていました。Amazonを使ってお薬が自宅に届くようになったら、薬剤師は倉庫業務になってしまうとか。薬剤師の存在意義を見直さなければと。一般企業に勤めていると、物を作って売ること、お客さんに買ってもらうことがどれだけ大変かわかります。言い方悪いですが、保険薬局って待っていてもお客が来る。他業種から見ればぬくぬくしていますよ。国民の多くは健康な人、だから病気の人だけではなく、そっちの健康な大勢の人も対象にするべきだと考えていました。

それで講師活動をやられるようになったんですか?

そうですね、そういう危機感と自分の中の目指すべき薬剤師像と身近な人の役に立ちたいという想いが合わさって、ライフワークとして研修講師の活動をするようになりました。
健康教室の生徒さん、青果市場の問屋さんや仕入れに来る料理人、主婦など、病気ではない一般の方々に東洋医学や漢方の考え方、薬物治療に関する雑多な話題をお伝えしています。
私自身も勉強のためにいろいろなセミナーに行きます。そこで出会った人と仲良くなって、その人に講師を頼まれたりすることがあります。人とのつながりが講師の機会を生んでいますね。

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「人とのつながり」が沖原さんのコア・インタレストですか?

自分の知らない知識を得たり、自分の知らない知識を持っている人と接触したりすることが元来好きなんでしょうね。スポーツジムのお風呂で話しかけられたおっちゃんと仲良くなって、それがどこぞの会社の社長だったりして、ちなみに現職への転職もそれがきっかけでした(笑)。

自分と他者の専門性の共通点を探ったり、コラボしたりするのが好きです。頼られたら力になりたいって思いますし。自分の知識や人脈が広がるのは単純に楽しいですね。
未病の人を対象に地域に出向いて講師活動をしているのも「人とのつながり」が根底にあるんでしょうね。いろんな人とのご縁が広がって、自分の知識や経験が役に立つならどんどん教えたい。でも実は、人前でしゃべるのは苦手なんです。

どうしてそこまで活動的なんですか?

妻にも不思議がられます。そんな活動している暇があったら金を稼いで来いって(笑)。
平日は本業の務めがありますからね、夜間や週末に勉強したり、講師したり、セミナーに参加したり、人付き合いしたり。人とのつながりというコア・インタレストに突き動かされているんだと思いますが、その延長線にもある、自分の理想とする薬局を持ちたいという自己実現のためでもありますね。身の回りにいる人の健康サポートができる薬局を自ら作りたいと思っています。

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人懐っこくて、社交的で、行動力があって、何事にも一所懸命。
写真を撮るよって事前に言っておいたのに、よれよれのTシャツで来るところは彼の飾らない性格。
でも、話にまとまりがなくてオチがない。どうやらご本人もそこが課題らしい。
彼の理想の薬局を作るという自己実現がなされる日が楽しみです。
沖原さん、ありがとうございました。