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兼業副業は、薬剤師側も会社側も他人事ではない!~Part2:兼業副業の探し方、今後の行方、目的

こんにちは、P-Edgeの富澤です。引き続き薬剤師の兼業副業について語っていきます。
Part2では兼業副業の探し方、今後の行方、目的についてです。

Part1:兼業副業の定義、企業側の実態、働く側の意識はこちらから

兼業副業の探し方

兼業副業の探し方については、僕自身が関与したものも多いので具体的なお話ができると思います。まずはどんな探し方があるのか類別してみましょう。

  • 友人知人を頼る:飲食店を経営する友人の店で週末だけ働かせてもらうなどといった、友人知人のビジネスを手伝う方法。
  • アルバイト情報から得る:アルバイト情報サイトなどから短時間就業で募集している仕事を探す方法。
  • マッチングサイトを使う:お仕事マッチングサイトで案件を探すか、または自分を登録して依頼を待つ方法。
  • 独自にビジネスを立ち上げる:ブログの広告収入、シェアリングビジネス、創作物のネット販売、書道教室などの講師業など、自分でビジネスを興す方法。

 といった手段が主に考えられますが、ここでは3つ目のマッチングサイトを使った探し方をクローズアップしたいと思います。薬剤師にはあまり馴染みがないかもしれませんが、今や非常に多くのマッチングサイトがあります。ビジネスマッチングサイトのまとめ記事があるので、それぞれのサイトについてこちらを参照ください。

012grp.co.jp

ようするに、お仕事を発注したい側とお仕事を受けたい側が出会うサイトです。発注側は案件を掲載し、受注側はプロフィールを登録し、どちらかもオファーできて、マッチングが成立し報酬を受け取る際に数十%の手数料がサイト運営側に支払われるという仕組みです。特に、フリーランスで働いている方に重宝されています。がっつり重たい本気の案件から趣味の延長程度の案件など、サイトの特徴によって掲載される仕事内容は様々です。

 もっと短時間で気軽にやりたいという方のために、自分の知識や経験を時間で切り売りするマッチングサイトもあります。ビザスクやタイムチケットが代表的です。

service.visasq.com

www.timeticket.jp

ビザスクは僕も登録しています。そして何度かお仕事を依頼されましたし、自分から案件を探して応募したこともあります。自分のプロフィールをしっかり登録するのは少々面倒と感じるかもしれませんが、依頼主とのやり取りはシステム上で簡単に行うことができます。隙間時間を利用できる手軽さがいいですね。

 自分の知識や経験を世の中の誰かが欲している、誰かの役に立つ、そんな架け橋になるのがこれらのマッチングサイトです。

たとえば、

  • 高校時代にアメリカに1年間留学した経験がある
  • アトピー性皮膚炎の治療体験がある
  • コーヒー専門店で3年間のバイト経験がある
  • 東京23区内の餃子屋はほぼすべて知っている
  • 実はボルダリングをかなりやりこんでいる
  • Tカードやポンタカードなどのポイントにめちゃくちゃ詳しい

と言った具合に、特技や他の人にはない経験というものがあれば、それを買いたい人もいるわけです。「自分のしょうもない知識や経験が誰かの役に立つとは思えない。」と考えがちですが、1億人の誰かに刺さるかもしれません。

 

そしてなんと薬剤師・薬学生に特化した兼業副業サイトが登場しました。

sukimacist.com

余談ですが、このサイトのコラムの第一回目は僕のインタビュー記事です。とまぁそんなことはさておき、こちらのサイトは今年10月に公開されたばかりのもので、現在は薬局でのパートやアルバイトの募集が中心ですが、今後はコラム記事作成、データ入力、新製品開発のモニターなど薬剤師のライセンスを使わないホワイトカラーの業務も扱われるようです。今後、幅広い求人案件が発生することで、薬剤師の多様な兼業副業が促進されることを期待できるのではと思っています。

兼業副業の行方

前述したようなマッチングサイトの登場により、兼業副業のハードルが下がってきたことは間違いないと思います。ICTの進歩によって、不労所得を得たり、隙間時間の知的労働によって収入を得たりすることがしやすくなりました。したがって、兼業副業の禁止理由としてもっとも多かった「長時間労働の助長」という懸念(詳しくはPart1参照)自体が薄れていくと考えられます。また、薬剤師採用難の中、求職者への訴求ポイントとして兼業副業OKをアピールするなど、前向きな理由で広がっていくことも考えられます。何よりも、若い人たちの労働への価値観が多様化していますので、兼業副業に抵抗感を持たない世代が増えていくと思います。
一方で超高齢化社会において、定年延長や定年後の再雇用制度など、シニア層の働き方についても話題の多い昨今ですが、定年後のセカンドキャリアに向けた準備として、本業以外で細く長く続けられる仕事を40代ぐらいから兼業副業を通して見つけておくというのも考えも大事です。再雇用制度を利用した場合、勤務日数や時間が短縮され、給与も激減という場合もありますが、その際に余った時間を兼業副業に当てるということも可能です。

Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の頭文字をとってVUCA(ブーカ)の時代なんて言われる今日この頃ですから、子育て中のママ薬剤師、製薬メーカーでリストラを心配するミドル層、時間に比較的余裕のある学生時代など、人生のいつの場面でも選択肢の一つとして兼業副業を考えることは今後重要になってくることでしょう。

兼業副業の目的

最後に、改めて兼業副業を行う目的や動機についても触れておきたいと思います。Part1でご紹介した株式会社インテージリサーチのアンケート結果にもありましたが、兼業副業を行う一番多い理由は「収入を増やすこと」でしたが、「自分のスキルや能力を生かしたい」「主業と違った楽しさがある」といった意見も上位に上がっていました。自分の能力開発や充実感、承認欲求、純粋な楽しさといった、人生に彩(いろどり)を増やすことを労働の目的にするという価値観は新鮮ですよね。単に収入を増やすことを目的にするよりは、人生の彩という観点から行う兼業副業であれば、きっと本業にもよい影響を与えるのではないでしょうか。 

みなさんは子供の頃の夢、何でしたか?スポーツ選手、お花屋さん、パイロット、保育士さん?または大人になった今、実はひそかに憧れている仕事があったりしませんか?それを本業にすることはできなかったのかもしれませんが、兼業副業でそれに近い体験をすることも可能では?

憧れの職業、今から実現してみませんか?

  

ということで、2回に分けて兼業副業について語って参りましたが、いかがでしたでしょうか。人材の流動化の激しい薬剤師の世界では、転職はもはや当たり前。薬局から薬局へ2度3度転職する人も珍しくはありません。転職には様々な事情があるとは思いますが、会社は変わっても業務内容は大きく変わらない職業のため、もしかしたらこのブログの読者の中には「調剤はちょっと飽きてきたなぁ。でも異業種に転職するほどの勇気はない。」なんて感じている人もいるかもしれません。一度兼業副業を真剣に考えてみてはいかがでしょうか。

 Part1:兼業副業の定義、企業側の実態、働く側の意識